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◉主催者インタビュー◉
仙台クラシックフェスティバル2015
2015年10月2日(金)〜10月4日(日)公演
お話いただいた方:
お話いただいた方:
公益財団法人 仙台市市民文化事業団
コンクール推進課
音楽振興係長 丹野裕子様(写真:左)
音楽振興係 松本俊幸様(写真:右)
音楽振興係 松本俊幸様(写真:右)
インタビュー日:2015年10月2日(金)
開催当初から一貫しているコンセプトは、「クラシック音楽を気楽に楽しんで頂きたい」ということ。特に家族連れにとっては、クラシック音楽のコンサートに足を運ぶのはかなりハードルが高いことのように思われます。対象年齢の下限の低さ、一公演あたりの料金は1000〜2000円、公演時間も45分か60分に統一、といったような「せんくら」ならでは取組みは、家族連れでも楽しめるクラシック音楽のイベントでありたいという強い思いがあるからこそ実現しているものだと思います。
——小さな子どもがたくさん来場するからこそ必要な気遣いなどはありますか?
——広報開始のタイミングなどはいつ頃ですか?
——子ども向けコンサートを開催することにハードルはありましたか?
——チケットは破格の値段なのに、これだけ充実したプログラムを実現できるのは何故なのでしょうか?
——ボランティアの協力体制が成功している様子は、会場の和やかな雰囲気からも伝わりました。
——お忙しい中、インタビューに応じていただきありがとうございました。
■とにかく気楽に楽しんで頂けるイベントに■
——「せんくら」では、0歳もしくは3歳から入場可能な公演を数多く設けていますが、そのねらいは何ですか?開催当初から一貫しているコンセプトは、「クラシック音楽を気楽に楽しんで頂きたい」ということ。特に家族連れにとっては、クラシック音楽のコンサートに足を運ぶのはかなりハードルが高いことのように思われます。対象年齢の下限の低さ、一公演あたりの料金は1000〜2000円、公演時間も45分か60分に統一、といったような「せんくら」ならでは取組みは、家族連れでも楽しめるクラシック音楽のイベントでありたいという強い思いがあるからこそ実現しているものだと思います。
子ども向けの公演会場には、子どもたちへの対応についてさまざまなノウハウをお持ちの子育て支援団体「特定非営利活動法人 MIYAGI子どもネットワーク」のスタッフに協力をお願いさせて頂きました。
また、「たまには一人でゆっくりクラシックを楽しみたいけど、まだ小さい子どもがいるから……」といった親御さんのために、全会場に託児所を設置しています。
■大人気の「子ども向け」公演■
——「子ども向け」と冠した公演はどれも大盛況でした。広報するにあたって工夫したことはありますか?
「せんくら」は公演数が多く、子ども向けコンサートの情報が埋もれてしまう恐れがあるので、子ども向け公演をピックアップしたチラシを別途作成して、近隣の学校へ配布させてもらっていました。過去には小児科に広告を貼らせて頂いたこともあります。また、子育て情報誌による公演情報や託児案内の掲載や、口コミも大きな効果があったように思います。
チケット発売開始の1ヶ月前にパンフレットの配布を始めます。市の施設や、会場沿線の地下鉄駅にも配置し、遠方のお客様向けとしてホームページでパンフレット送付の受け付けも行いました。
ただ、お子様の体調を心配して、親御さんは2、3ヶ月先のチケットは前もって買いづらいというのが少し懸念しているところです。
かつては「0歳から」と冠したコンサートには、内部で反対意見が出たこともあります。通常のコンサートのように演奏を楽しみたい方もいらっしゃるなか、小さなお子様はどうしても動いたり、泣いてしまったりしますので。しかし、それでも続けてみた結果、「こういうコンサートもあっていいじゃないか」という理解が、運営側にもお客様の間にも広がって行きました。リピーターのお客様も多くいらっしゃいます。
また、アーティストの方には、出演交渉の段階で「子ども向け」であるという公演コンセプトをしっかりと共有させて頂いています。その上で、演出やプログラムなどはアーティストの方にお任せしています。
■驚きのチケット価格。
運営するにあたっての工夫は!?■
出演者をはじめ、関係者の皆様のご協力はもちろんですが、事務局職員も企画立案するだけでなく、荷物の運搬や装飾物の製作など、出来ることは極力自分たちで行い、制作費を抑えています。しかし、何より運営する上で欠かせないのが、ボランティアの方々の協力です。会場スタッフの多くはボランティアにお願いしています。会場の装花、場内アナウンス、公式カメラマンも、みんなボランティアの方々によるものです。
「せんくら」開催当初は、試行錯誤しながらボランティアによる運営の仕組みを作っていました。いまでは、ボランティアの方々の中には、イベントを支えることに対するやりがいや、来場者からのねぎらいの言葉をモチベーションにして協力して下さっている方も多く、もはやボランティア・スタッフなくして「せんくら」は成立しえないと言っても過言ではありません。
■さいごに■
今年で10周年を迎え、公演の内容や規模もますます充実してきた「せんくら」ですが、それも出演者、職員やボランティアの方の地道な努力や工夫があってこそ。特に子ども向けコンサートへの取り組み方は参考になるところが多いのではないでしょうか。こうしたイベントが全国のいたる所で開催されるようになれば、今回「子ども向けコンサート」に参加した子どもたちが大人になる頃には、クラシック音楽をもっと近くに感じられる社会になっているかもしれません。