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◉企画制作者インタビュー◉
Concert for KIDS〜0才からのクラシック
2015年9月5日(土)
お話いただいた方:Sony Music Foundation企画事業部チーフ 高堀明日香様
インタビュー日:2015年9月5日(土)
毎年全国各地で行われている“Concert for KIDS~0才からのクラシック~について、Sony Music
Foundationの企画事業部チーフ、高堀明日香さんにお話しを聞くことができました。高堀さんがこのコンサートの企画をするようになってから8年、企画に込められた思いや工夫について伺いました。
■お客様の声から生まれたコンサート■
―――0才から入場できるコンサートというのは数少ないように思います。0才から入場できるようにした理由は何ですか。
Sony Music Foundationでは、1985年より「0才から」のクラシックではなく、「0才まえ」のコンサートとして、妊娠中のお母さんたちを対象にしたコンサートを行っていました。そちらのお客様から、「妊娠中にはコンサートを聴けたのに、子どもを産んでからはそういう機会がなくなってしまった」というお声をたくさんいただいたことをきっかけに、1999年から今回のように0才から入場できるコンサートを企画しました。当時は0才から入場できるコンサートはなかったので、お客様に無料で来ていただいて、その代わりに「アンケート」に答えていただいていました。お客様のお声を聞きながら、コンサートの開演時間や全体の時間などを設定しました。
今でもアンケートは続けていて、毎回楽器を変えたり曲を変えたりしているので、それらについてのフィードバックを得て次の演奏会へと活かしています。アンケートは出してくださったら、その場でステッカーを差し上げているので喜ばれているようです。
―――アーティストの方たちも、アンケートの結果をご覧になっているそうですね。
そうですね。「見たい」とおっしゃるアーティストが多いです。客席の反応は演奏中に感じられるそうですが、実際に「あの曲が良かった」ですとか、「あの時の動き方が可笑しかった」など、お客様が具体的にいろいろなことを書いてくださるので参考にされています。その上でアーティストの方も「次はこうしようかな」とか、「この曲とこの曲は一緒にしない方が良かったかな」と意見を出してくださいます。そこから私たち企画制作者との相互作用を働かせ、ブラッシュアップしています。
■いろいろな楽器の音を子どもたちに届けたい■
―――出演を依頼するアーティストはどのように決めていますか。
子どもたちが聴きにきているコンサートだということを、深く理解してくださるアーティストに出演していただいています。そうしたアーティストさんは決して多くはありません。アーティスト同士のつながりで紹介していただくこともありますが、文化や芸術によって豊かな地域づくりに貢献されている『一般財団法人 地域創造』へ登録されているアーティストに多く依頼しています。この財団に登録するためにはオーディション等があり、演奏技術も保障されていますし、財団の考え方に基づきこのようなコンサートに対して理解のある方が多いです。
―――ユニークな楽器編成ですが、どのようにして決めていますか。
子どもたちにさまざまな音色を聴いてもらいたいという想いから、いろいろな楽器編成を組んでいます。アーティストさんも「新しい楽器を入れるべき」と考えてくれています。ピアニストと歌手は、どの公演にも出演してもらい、歌手には進行役もお願いしています。それ以外の楽器については、ホールや、公演回数によって考慮しています。初めてのホールであれば、誰もが知っているようなヴァイオリンやフルートといった楽器を入れたり、リクエストにお応えしたりしています。場所によっては、アーティストさんとホールがつながっていて「この人に来てほしいからConcert for KIDSをやってください」とお願いされることもあり、それで編成が決まることもあります。なかのZEROでは、何年もやらせていただいているので、毎回新しい楽器にしたいと考えています。ホールがとても広いので、今回は見た目がワイルドなマリンバや音が通りやすいトランペットを入れました。
このように、公演ごとに楽器編成が変わってくるので、演奏曲は楽器編成に合わせて、名曲をアレンジしています。なるべく原曲に近い形で、子どもたちが大きくなってから聴いたときに違和感を感じないよう、アーティストと相談しながらアレンジを行っています。
■全国で年間約20公演、小さな公民館でも■
―――Concert for KIDSは、全国各地で行われていそうですね。
毎年全国で約20公演行っています。ほとんどの都道府県で行っています。大都市や大ホールが主催する子ども向けコンサートはいろいろありますので、私たちは小さな町の公民館など、クラシックのコンサートをあまりやっていないような場に行って公演していることが多いです。舞台と照明、音響装置があればどこでも大丈夫です。公演日は土、日、祝日をメインにしておりますが、土日休みでない方もいらっしゃるので東京では水曜日の公演もあります。この公演は0~2才の子どもたちが多く、毎年完売しています。
社会貢献や良いものを提供したいと思っている自治体やホールが主催してくださるため、こちらから公演の営業をしたり、ホールとホールの間の口コミで「良いよ」と言ってくださって企画が実現したりするなど、公演が決定する方法はさまざまです。企画の特性上、入場料はそんなに高い金額を設定できないため、主催者の方にとっては赤字になることが多いという側面も多少あるようですが、私たちも主催者の方たちも、お互いに「良いものを作りましょう」という気持ちで開催しています。たとえばホールが主催の場合は、子どもの頃からホールに足を運ぶことで、「小さい時に来た!」という気持ちで将来のお客さんにつなげていきたいといった想いもあるのではないでしょうか。やはり生ですばらしい音楽を聴くことは、心に響き、心に残ると思います。
また、全国的に見ればまだ公演をしたことがない都道府県がいくつかあるので、今後も積極的に公演を行いたいと思っています。
また、全国的に見ればまだ公演をしたことがない都道府県がいくつかあるので、今後も積極的に公演を行いたいと思っています。
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■「敷居が高い」というイメージを取り除きたい■
―――Sony Music Foundationさんがこの公演を行う最大の目的とは何ですか。
クラシック音楽に対して「敷居が高い」というイメージを取り除きたいですね。クラシック音楽が難しくない、とは言いませんが、「難しいから行けないわ」「どんな格好していいかわからない」という気持ちをなくして、とりあえず来てみて楽しんでいただきたいです。音楽はクラシックだけが全てではないので、ポップスや、吹奏楽やJAZZなどと並び、1つのジャンルとして、クラシック音楽に触れていただきたいです。全国でコンサートを聴いてくださり、クラシック音楽ファンのお子さんが増えたら良いなと思います。