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◉主催者インタビュー◉
日本フィルハーモニー交響楽団夏休みコンサート
2015年7月18日(土)〜8月2日(日)公演
お話いただいた方:日本フィルハーモニー交響楽団 企画制作部副部長 賀澤美和様
お話いただいた方:日本フィルハーモニー交響楽団 企画制作部副部長 賀澤美和様
インタビュー日:2015年7月31日(金)
クラシック音楽を一生のパートナーに
―本日はお忙しいところお時間をいただきましてありがとうございます。コンサートでは子どもたちの楽しそうな姿が印象的でした。“日本フィルハーモニー交響楽団(以下日本フィル)ならでは”の夏休みコンサートはどのように作り出されたのでしょうか。
夏休みコンサートは昨年で40周年を迎えました。40年前には既に、子どもの無気力化など社会問題になっていました。そのような状況の中、楽団として音楽家が社会のためにできることを真剣に考えた結果、夏休みコンサートが企画されたのです。当時の音楽鑑賞教室は、大人が聴かせたい曲目ばかりで構成されるなど、本当に子どものためを思って作られたコンサートとは言い難い内容でした。日本フィルは当時から、学校の先生や教育委員会、評論家など有識者の方々にもご協力いただき、子どもに楽しんでもらえるコンサートを作ることができるよう、工夫を重ねてきました。このことが、日本フィルの強みとなっています。
―コンサートでも楽員と出演者、スタッフの方々の「一体感」を感じました。現在はどのような協力体制になっているのでしょうか。
現在でも事務職員、楽員による夏休みコンサートプロジェクトチームがあり、音響や照明スタッフの方と協力して夏休みコンサートの企画運営をしています。また、20年以上にわたって歌と司会で出演してくださっている江原陽子さんをなくしてこのコンサートは語れませんし、子どもにも大人にもわかりやすく美しい演出・振付をしてくださるスターダンサーズ・バレエ団の鈴木稔さんの存在も欠かせません。すべての方の力で夏休みコンサートができあがっています。
―他の子ども向けコンサートと最も大きく異なるところは、なんといっても圧倒的な公演数にあると思います。今年も連日にわたり、9カ所17公演エネルギッシュな本番をこなされましたが、なぜこのように多くのホールで多くの公演を打とうとお考えになったのでしょうか?また、これだけの数をこなすために工夫されていることはありますか?
―公演を行う各市や区の教育委員会や文化振興財団等との連携に多大な努力をされていると思います。公演の告知などについて、諸団体のサポートなどはあるのでしょうか。
後援をいただいた市町村の教育委員会、校長会、音楽教育研究会などで学校の先生方へご挨拶し、チラシの「全校配布」をさせて頂いております。また、共催していただいているホールや財団では、友の会DMへの封入や、ポスター掲示などで多大なご協力をいただいています。
―コンサートの構成が、1部はオーケストラ曲、2部はバレエ、3部は“みんなで歌おう”という「三部構成」になっているのもこのコンサートの特徴であると感じました。
オーケストラを集中して聴いて、バレエを見て、最後は自分も参加する、という「メリハリ」を大切にしています。構成や台本の作成も、外部の台本作家に依頼するのではなく、「夏休みコンサートプロジェクトチーム」で1年かけて作っています。
―曲目はどのように決定されているのでしょうか。
夏休みコンサートには、“古今の名曲をご家族で聴いていただく”というコンセプトがあり、それに合わせて毎年テーマを決めて選曲をしています。今年は「みんなが好きなものを正面から」お聴きいただくということで、有名な《運命》や《ハンガリー舞曲》などを選びました。選曲の際には、子どもたちだけではなく、「ご家族で」楽しんでいただくということを常に考えています。また、楽員の意見や学校の先生のご意見も取り入れています。
―対象としていらっしゃるお子様の年齢層をお教え頂けますか。
小学校2~3年生を対象にしていますが、未就学児も多くいらしているので、大体5~9歳位がメインの年齢層です。
―お子様への向き合い方として気を付けていらっしゃることはありますか。
アンケートの子どもたちの感想を見ると、その多様な感性に驚かされることが多いです。そのため、曲目選択の際にも「子どもはこんな曲が好きだろう」という先入観に捉われないよう心がけています。
―公演のリピーター率はどのくらいなのでしょうか。
毎年4~5割の方がリピーターでいらしてくださっています。40年続けていると、子どもの頃にいらした方が、ご自分のお子様や親御さんを連れていらしてくださることもあり、「三世代コンサート」になっていることを実感します。
―最後に「夏休みコンサートの今後の展望をお聞かせ下さい。
このコンサートをきっかけに、音楽が一生のパートナーになってくれればと願っています。何かあったときの「心の支え」の一つとしてクラシック音楽があるということを、多くの子どもたちが気付くきっかけになる。そんなコンサートであり続けたいと思っています。