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◉公演レポート◉
〜絵本と室内楽との組み合わせで
親子の心をつかむ子育て支援の音楽会〜
トリトン・アーツ・ネットワーク
子どもを連れてクラシック
『音楽と絵本』コンサート
子どもを連れてクラシック
『音楽と絵本』コンサート
2015年9月26日(土)
〜絵本と室内楽との組み合わせで
親子の心をつかむ子育て支援の音楽会〜
■ シリーズから人気コンサートの再演を
認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク主催の「子どもを連れてクラシック 『音楽と絵本』コンサート」は、第一生命ホールのステージ上の大型スクリーンに絵本が映し出され、朗読に合わせて生演奏がつけられるという大迫力のコンサートです。これは毎年3月に行われている「子育て支援コンサート」の一部を再演したものです。3月の公演では、前半に子どもたちがスタジオで楽器を間近に聴く体験をし、それと同時に親御さんだけがゆっくり楽しむ大人のためのコンサートが開かれます。後半は親子が揃って音楽と絵本のコンサートを楽しむという流れ。今回9月に取材した「『音楽と絵本』コンサート」は、3月公演の後半部分を再演したものです。2009年に制作された『くものすおやぶんとりものちょう』が、6年ぶりに披露されました。
■ 楽器の音を楽しむ
9月26日14時から行われた「『音楽と絵本』コンサート」は2部構成になっており、第1部は弦楽四重奏クァルテット・エクセルシオとオーボエの古部賢一さん、ピアノの小坂圭太さんによるクラシック音楽のステージ。第2部が目玉である絵本に生演奏をつけたステージです。
第1部は「色々な楽器の音色を聴いてみよう」をテーマに進められていきます。客席、舞台袖から演奏者が弾きながら登場。子どもたちはきょろきょろとしながら奏者を目で追っていました。ステージ上に奏者が揃うと、弦楽器の大きさの違いや音色の違いを子どもたちに問いかけながら丁寧に紹介されました。楽器の名前を答えたり、音の高低を答えたりと元気に参加する子どもたちの姿が見られました。
© 大窪道治
楽器ごとの違いを学んだあとは、弦楽四重奏で「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の鑑賞です。続いてオーボエの楽器紹介に移ります。古部さんが実演を交えながら吹き方を説明し、オーボエソロの曲の演奏へ。繊細な音に会場全体が静まり、子どもたちも耳を澄まして演奏に集中しているようでした。そこへ弦楽器が加わったオーボエ四重奏で、音の広がりを感じさせていました。
続いてピアノの楽器紹介を行い、ソロ曲の後に弦楽器が加わったピアノ五重奏曲をもう1曲。このように、楽器紹介、ソロ演奏、ソロと弦楽四重奏での合奏という流れで、第1部のテーマ「色々な楽器の音色を聴いてみよう」が活かされていました。楽器構成によって音に変化を与えることで子どもたちは飽きることなく耳を傾けていたようです。
© 大窪道治
■ 絵本を生演奏にのせて
20分の休憩を挟み、第2部はコンサートの目玉である「音楽と絵本」のステージです。休憩時間にステージには大きなスクリーンが設置され、会場のわくわく感が高まりました。今回取り上げられた絵本は「くものすおやぶんとりものちょう」(秋山あゆ子著、福音館書店)。大きなスクリーンに映し出される絵と飯原道代さんの朗読により、会場は一気にお話しの世界へと引き込まれていきます。絵本の場面に合わせて有名曲が演奏されていきます。演奏が入る場所も曲もお話しにぴったり合っており、絵本のもつ面白さを高め、客席全体が一体となってハラハラドキドキしながら楽しんでいる様子。中でも、絵本のページの中から隠れている登場人物を探すシーンでは気持ちを煽るような音楽演奏も相まって「いた!」、「あそこ!」と子どもたちも指さしをしながら真剣になって探していました。
© 大窪道治
© 大窪道治
■子どもの楽しみ方、大人の楽しみ方
コンサートは全体で1時間半。約45分間の第1部に対し、第2部は約25分間。絵本の選定から曲の選定まで主催者と演奏者が一丸となって行っているという力の入った第2部は、終演後にインタビューした子どもたちの間で「絵本の探す(ページに隠れた登場人物を探し出す)ところが面白かった」、「楽しかった」と大人気でした。会場の雰囲気に合わせて盛り上がりみせる生演奏があることで、子どもたちをしっかりお話しの世界に連れていくことができたのでしょう。
また、ピアノを習っているという小学2年生の男の子は「ピアノ、早く弾いていてすごかった!」と第1部の魅力も自分の経験とつなげて感じているようでした。そして、「1部が良かったですね。クラシック音楽を聴く機会がなかなかないので」とお話ししてくれたお父様や、「子どもがいるとなかなかコンサートには行けないので、演奏を楽しめて子どもは絵本を楽しめて…」とお話ししてくれたお母様がいるように、子どもはもちろん、保護者の方、大人も楽しめる構成になっていました。
協賛:第一生命保険株式会社
後援:中央区・中央区教育委員会
協力:株式会社 福音館書店