Y-Classic こども青少年クラシック音楽普及プロジェクト:公演レポート《杉田劇場ひよこ♪コンサート》


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 公演レポート◉                                 
杉田劇場ひよこ♪コンサート
2015年12月10日(木)

〜ママ友たちのリピーターが集う、
視覚的にも楽しい1時間コンサート〜
                                          
■年に3回開かれる人気の「ひよこ♪コンサート」
JR磯子駅からほど近い磯子区民文化センター杉田劇場は、2015年に開館10周年を迎えた施設です。ホールのほか、ギャラリー、リハーサル室、練習室、会議室等を備えたこの劇場は、一見したところ通常の公共施設と大きく変わりはありません。しかしその運営は、「区民による、区民のための」劇場となることを目指し、考え抜かれた仕組みと実践によって、文化の力で地域とそこに暮らす人々を活気づけています(※詳しくは主催者インタビューもご覧ください)。

杉田劇場が取り組むさまざまな文化事業の中でも「子育て支援」は大きな柱のひとつ。なかでも、年に3回(6月、9月、12月)開かれる「ひよこ♪コンサート」は、まだ首もすわらぬ赤ちゃんを抱いたお母さんたちや、地域の保育園の子どもたちも集まる大人気のイベントです。
例年12月の「ひよこ♪コンサート」は、NHKの「うたのおねえさん」のキャリアをもつ歌手しゅうさえこさんが出演し、劇場の中村館長自らがピアノを演奏するクリスマスコンサート。去る20151210日(木)は「大きな木の下で・・・メリークリスマス!」をテーマに、クリスマスムード一杯で子どもたちを迎えました。

コンサート基本情報
・午前11時からと午後2時からの2回公演
・入場料:子ども500円、大人1000

☆こども向けコンサートならではの工夫
・ベビーカーの預かりサービス
オムツ替えコーナー設置
ミルク用お湯の提供



■大人も子どもも一緒に歌う1時間
「0さいからのちいさなコンサート」と謳うこのコンサートには、乳幼児もたくさん。「ママ友」のお母さんたちが、赤ちゃんを膝に抱いて並んで仲良く座っています。また、地域の幼稚園の年長さんたちがクラスで参加していました。



コンサートはぴったり1時間。しゅうさえこさんが披露したのは次の14作品です。
あわてんぼうのサンタクロース
たきび
いぬのおまわりさん
おもちゃのチャチャチャ
おすもう
ぼくはライオン
もりのくまさん
あ・い・う・え・おにぎり(作詞作曲しゅうさえこ)
どこでねるの
10
大きな栗の木で
11
ブーツをはいたぞうさん
12
星に願いを
13
クリスマスソングメドレー
14
あしたもいいことあるように(作詞作曲しゅうさえこ)


子どもも大人もよく知る童謡やクリスマスの名曲が中心。しゅうさんは、「さぁみんなも歌ってね」、「ライオンさんの鳴き声はどんなかな?動物の赤ちゃんの鳴き声をまねしてごらん」(6曲目)、「おにぎりの中味はなにかな?」(8曲目)、「赤ちゃんを抱いているお母さん、コアラになって赤ちゃんを抱きしめてくださ〜い!」(9曲目)など、客席に語りかけながら歌います。手拍子やリズム遊び、言葉遊び、振り付け等をまじえては子どもたちの気持ちを高め、ステージに惹き付けていきます。「女の子だけ」「男の子だけ」「お母さまだけ」と歌うパートを分けるなど、客席の集中力を切らさぬ工夫が次々と繰り出されます。子どもたちは元気に歌ったり、しゅうさんからの問いかけに叫ぶようにして応えたりと大興奮! 立って踊り出す子もいます。

しゅう さえこ さん(うた)

中村館長がデジタルピアノのパイプオルガンの音色を利用し、しっとりと「諸人こぞりて」を聴かせたり、グランドピアノで「グノーのアヴェ・マリア」をゆったりと奏でるシーンもありました。

中村牧館長(ピアノ)

アンコールは客席全員で手拍子しながら「小さな世界」。最後は「また会えるおまじない(あたま、おはな、おなかをグルグル〜!)」で締めくくり、楽しい1時間が終わりました。



  視覚も多いに刺激〜美しいステージづくり
子ども向けのコンサートでは、小さな子も飽きずに参加できるように、一緒に声を出したり、身体を動かす工夫がなされることはよくあります。この「ひよこ♪コンサート」でも、しゅうさんの優しい歌声と、ステージから客席まで大きく使ったパフォーマンスで、客席をずっと惹き付けていました。
さらにもう一つ、このコンサートで目を引く工夫は、ステージ上の照明や大道具の演出です。今回は「大きな木の下で・・・メリークリスマス」というテーマに合わせ、ステージ中央には木をイメージした幕があしらわれています。照明によって空や木の様子が大きく姿を変えます。また「おにぎり」や「ぞうさん」など、歌の内容に合ったオブジェが上から降りて来る仕掛けも。色鮮やかな照明や道具と、音楽とのコラボレーションは、子どもたちの視覚を大いに刺激していたようです。イルミネーションのように美しく輝くステージに、子どもたちは始終目を輝かせていました。


■ママたちからリピートされるワケ
終演後は、お母さん同士が仲良くホールから出て来る姿が目立ちました。数組の親子にお話を伺うと、コンサートを知ったきっかけは「ひよこメールで」とのこと。
杉田劇場が提供する未就学児向けのイベント情報を配信する無料メールマガジン「ひよこメール倶楽部」に登録することで、この「ひよこ♪コンサート」のほか、毎月行われる「ロビーパフォーマンス」(劇場ロビーで、中村館長のピアノに合わせ、就学前の子どもたちが歌ったり踊ったりできるイベント)の知らせも入るため、劇場で知り合った親同士の繋がりも生まれているそう。
「子どもは2歳です。去年も来たので3回目」、「今年もママ友同士で誘い合わせてきました」という親御さんのコメントからは、リピーター率の多さを感じます。3歳の子どもをそれぞれ連れたママたちは「一緒に成長を感じられるコンサートですね」と、楽しそうに会場を後にしました。


主催:横浜市磯子区民文化センター 杉田劇場
(公益財団法人横浜市芸術文化財団/特定非営利活動法人 チーム杉劇/有限会社アイコニクス/株式会社ニックサービス共同事業体)